SSブログ

ぼやき?のち放浪? [介護]

パーキンソン病を患って入院中の方がまもなく退院されるとのことで、CM(ケアマネージャー)呼びかけの下、ヘルパー派遣会社の管理者と担当ヘルパーさん、そして福祉用具を担当させていただいている私とご主人、の5人で担当者会議をしてきました。

担当者会議というのは定期的に開催し、介護を受ける方に関係する人が、その方に関する情報を共有して、今後在宅で安心・安全に生活していけるように話し合い、計画を立てる場です。

比較的経度な要支援の方であっても、この担当者会議は開催しなければならないというきまりになっていますが、正直電話で済ませられるだろうと思うケースも多々あります。

この日は要介護5の方で、退院されますと早速必要な介護サービスはたくさんあると思われ、その前に話し合っておくことは大事なことだったのです。

退院された後、在宅で生活をしていくのに必要と思われる福祉用具(ベッドや車いす)に関すること、ヘルパーさんの入る日程調整、訪問入浴や訪問介護などの必要性・・・、等などかなり細部にわたって、それぞれの専門家たちが検討します。

ただ、関係者はみなさん忙しくされており、身体的に特に変化もなく、急を要する介護サービスも必要ないと思われるケースがあるのも事実です。

偉そうなことを言うと批判されるかも知れませんが、それを判断するくらいの知識や臨機応変な対応力をCMは持ち合わせていただきたいものです。


さて、おっさんのぼやきはこれくらいにしまして、この日の会議はご主人のご理解もあり、スムーズに進行し思ったより早く終わりましたので、天気もいいし放浪することに・・・・・。

さて、どこへ行きましょうか・・・・・?




道頓堀川.JPG
nice!(8)  コメント(13)  トラックバック(0) 
共通テーマ:健康

深くて永い夫婦の絆 [介護]


介護用品(電動ベッド、車いすなど)をご利用いただいている方の中で、全介助が必要な方がいらっしゃいます。

独力ではまったく動くことができない方です。

そのほとんどがご自宅で寝たきりで、食事の時にベッドの背を上げて起こしてもらうか、通院時に車いすに乗せてもらう時にしか起き上がることができません。(現在入院中)

今回は、そのような方の担当CM(ケアマネージャー)からの連絡でした。


この方には、電動ベッド、車いす、玄関上がりかまちのリフトなど、必要最低限の用具はご利用いただいており、そのうちのいずれかのクレーム(故障か使い勝手の連絡)だと思っておりましたが、連絡の内容はリフトが使えなくなった(?)とのことでした。

よく聞いてみると、用具(リフト)自体の故障ではなく、リフトに移乗しても座位がとれないくらい身体能力が落ちてきており、車いすのまま乗せることができる大きなリフトに交換できないか、という内容です。

また、そうしないと介助するヘルパーさんの負担もかなり大きくなり、退院して自宅での生活も難しく、事故にならないためにもぜひに、ということでした。

もちろんそのような用具はありますが、設置場所のスペースの問題が大きくて、利用したくてもなかなか設置できないご家庭が多いのが実情です。

その旨を伝えますと、それがないと退院できないから至急下見に行って欲しいとのことでした。

翌日(23日)、メーカーのサービスマンと打ち合わせ、メジャーを持って下見をしたところ、ぎりぎり大丈夫だろうとのことでした。

ただ、それを設置すると玄関が埋まってしまい、ゲタ箱も開かなくなります。

介護をされているご主人に詳しく説明しますと、それでもいいから設置をして欲しいとのことでした。

認知症が進んだ奥さんですが、病院で寝たきりではかわいそうすぎるし、通院時やデイサービスに行く時くらいは外の空気を吸わせてやりたい、というご主人の切なる気持ちが痛いほど伝わってきました。


1日でも早くとのことで、25日(土)の午後から設置することに決定しました。

が・・・・・、この日は日本3大祭りのひとつである天神祭りの本祭り日です。

私、生まれて初めて船渡御の船に乗せていただく予定が入っていたのです・・・・・。

でも今回はご主人の強い想いを優先です。

祭りは毎年ありますし・・・・・。



当日、土台の組立てからスタートです。



リフト1.JPG


リフト2.JPG


リフト3.JPG


何度も上げたり下げたりしながら微調整をしていきます。


リフト5.JPG


床とぴったり合う高さになるまで調整をしていきます。


リフト4.JPG


そして、実際に使用されている車いすを出してきて実演をし、使用される時の注意事項を説明して完了です。


リフト7.JPG


設置に約2時間強、もちろん床にアンカーも打ち込んで、簡単には動かないようにもしてあります。


組立て中は心配顔でずーっと見ておられたご主人ですが、実際に車いすを載せて実演をさせていただくと、想像したとおりの笑顔になりました。


事前の説明とおり、玄関のスペースはこのリフトで埋まってしまいましたが、安心して楽に移動できることを優先された1例です。



今回は、ご主人の奥さんに対する思いやりというか、他人では推し量ることができない深くて永い絆みたいなものを感じさせられた半日でした。



もちろん、祭りに行けなかった悔しさと、ご主人の笑顔を見れたうれしさで、酔うまで(?)祝杯をあげたのはいうまでもありません。




nice!(8)  コメント(12)  トラックバック(0) 
共通テーマ:健康

頭にくる輩(YAKARA) [介護]


誰もが高齢になりますと、下肢筋力が弱って足が上がりにくく、また立位の姿勢を保つのが不安定となります。

こうなりますと家の中で転倒する率が高くなり、特に浴室での事故が多くなります。

浴槽が、昔ながらの深いステンレス槽ですと、たとえ壁面に手すりが付いていても入浴が非常に困難な動作となります。



ステンレス風呂.JPG


そんな時に助かるのが、浴槽に沈めて使用する『浴槽台』です。

最新のものは非常に軽量で、高さも調節でき、高齢者でも取扱いやすくなっております。

また、介護保険の支給対象品として認められており、1割の自己負担で購入ができます。

10000円~15000円のものが、1000円~1500円くらいで購入でき、安全に入浴できるのですから、上手に介護保険をお使いいただければと思います。


今朝、最近ご主人を亡くされ独居となられた88歳の方のお宅に、この『浴槽台』をセッティングしてきました。

深い浴槽ですが、壁に取り付けられた手すりとの併用で、楽に浴槽への出入りの動作ができるようになり、また入浴時もその台に座れますので安心です。


そして、管轄のお役所に提出する用紙を説明しながら雑談をしていますと、信じられないようなお話をされました。

 

ご主人を亡くされて約1ヶ月くらいした昼ごろ、ピンポンが鳴ったので玄関を開けると、見たことのない男性が立っており、いきなりこう言ったそうです。

『無くなったご主人の名前を書いた表札をいつまでも掛けておくと、霊が成仏できず良くないことがあります。今日は新しい表札を特別に3万円で作らせていただきますので・・・』

おかしいと思い、いらないから帰って欲しい旨を伝えると、この男性は前に進み出て、後ろ手で玄関のドアを閉め、特別に1万円にまけてやると言い出したそうです。

言葉使いも荒くなり怖くなったので、息子さんに連絡してからと言うと、3千円で良いから・・・とのこと。

ドアは閉められているし、恐怖で声も出せず、仕方なく3千円を出すとひったくるようにして走って帰ったそうです。


それ以来、夜中などに少しでも物音がすると、また来たのではないかと寝れなくなってしまい、事前に電話をかけてこない来訪者にはピンポンが鳴っても絶対に出ないそうです。


高齢者を狙う、えげつない輩が多いことはよく新聞やニュースで耳にしますが、まさか身近にその被害に合われた方がいらっしゃったとは・・・・・。

そういえば私の母も独居で、いろんなセールスがピンポンを鳴らしてしょっちゅう来る、って言っていたことを思い出しました。


今回は、常に男物の靴か草履を置いておくことと、たまに男物の下着なんかを洗濯干しに掛けておくことを伝え、ポストに同居していない家族全員の名前を書いたシールを作って貼ってあげることを約束して帰りました。

もちろん、こんなでっかいシールも作ってあげました。



シール.JPG


気休めにしかならないかもしれませんが、少しでも防御体制をとっていることをアピールできればと思います。

明日、雨でなければ貼りに行ってあげるつもりです。


しかし、頭にくる輩です!

必ずいつか自分に返ってくることでしょう。







nice!(6)  コメント(11)  トラックバック(0) 
共通テーマ:健康

尽きない心配 [介護]


担当者会議という集まりがあります。

これは、介護サービスを受けておられる方に何か変化がみられた時などに、その方のサービスに係わる事業者が集まり、現状のサービス内容が適しているかとか、今後の目標をどうするのか等を話し合う場です。

ご利用者に係わるサービス事業者が一同に集まり、よりきめ細かなサービスを供与させていただいて、さらに安全で快適な生活を送っていただくためにも必要な会議です。


今朝、その集まりがあり、ベッドをレンタルでご利用いただいている方のお宅に寄せていただきました。

福祉用具を扱う私以外に、訪問看護の方とデイサービスの担当者、議長役のケアマネージャー、そして介護をされている娘さんの5人でした。

ご本人は80歳を越える高齢の方で、1日のほとんどをベッドで過ごされており、今日も寄せていただいた時は休まれていました。


最初に、娘さんから『つい先日、おばあちゃんが警察に保護されて・・・・・』と言われましたので、詳細を聞いてみますと、明け方にパジャマ姿で外に出て、大通りをウロウロ歩いているところをパトカーに保護されたとのことでした。

たまたまマンションの管理人さんが一部始終を見ておられたので事なきを得たそうですが、歩いていたところは大阪でも大きな通りであるなにわ筋でしたので、一つ間違えば大事になるところでした。


このおばあちゃん、普段は介助なしでの自力歩行は無理で、今回の行動に娘さんも驚いておられました。


認知症の方は時として、このような家人も驚くような行動をとることがあります。
普段は乗り越えられないベッド柵を越え、スタスタと歩かれたという話もよく耳にします。


これが徘徊という行為で、この方の症状も進んでいることを証明されたことがわかります。

認知症は日々進行する病で、今回のような徘徊は家人にとって最も厄介な症状のひとつです。


『今後どうしましょう?』と泣きそうな顔で見つめられましたので、徘徊感知マットのレンタルを紹介させていただきました。


これは、30cm×80cmのマットに乗ると送信機が電波を送り、介護されている娘さんの部屋に置いた受信機が音と光でお知らせするというものです。

ワイヤレスですのでコードの配線も必要なく、直線距離で100mくらいは電波を飛ばしてくれます。


早速、午後からデモをして欲しいというご依頼をいただき、先ほど行って来ました。

特に難しい接続などもなく、音量も調節できる優れもので、大きなマンションにお住まいのこの方宅でも充分にその効果はみられました。


通常はベッド下に敷くのですが、トイレに行くたびに鳴ると困るので、このお宅では玄関ドアの前に敷き、スイッチは夜間のみ入れておくことにしました。


ちなみに、介護保険を利用してのレンタル料金ですが、月々@1,000です。


『こんなに大きな音で教えてくれるなら安心!』と喜んでいただきましたが、今後おばあちゃんに更に違う症状が出てこないかと、娘さんの心配は尽きません。


どちらのご家庭でも、介護される方の精神的なストレスは大きく、今回のように徘徊の症状が出てくると、その負担が介護者にもたらす影響は計り知れません。


介護されている娘さんの自由になる時間が更に少なくなることは明白で、ケアマネージャーはこのあたりも考慮に入れてケアプランを立てなければなりません。

介護される方だけではなく、介護する方のことも考えてプランを作成しなければならないケアマネージャーの仕事の重さを実感し、それにしっかりと連携して進めていかなければならないという思いを強くした1日でした。






紫陽花2009.JPG
(もう梅雨に入ったんちゃうん?と言ってる気がした紫陽花)



追記/

鬼嫁曰く、『アンタの夜の徘徊もエエ加減にしいや~』



nice!(7)  コメント(11)  トラックバック(0) 
共通テーマ:健康

予防が大切です! [介護]


福祉用具(介護用品)の選定で、よく悩むもののひとつに「床ずれ防止マットレス」があります。

床ずれですが、一旦できてしまうと本人の苦痛はすさまじく、直るのにかなりの時間を要します。

ひどい床ずれになりますと皮膚がめくれるだけでなく、骨まで見えるくらい重症になる方もおられ、たとえ直ってもケロイドのような後形が残ってしまいます。
何よりも傷口からの感染が恐ろしく、それだけにその選定には特に気を使うのです。


「床ずれ防止マット」と言っても、その種類はかなり多くて、低反発ウレタンが入ったものや特殊なゲル状のものが入っているタイプ、そしてエアーマットなどがあります。

エアーマットはほぼ寝たきり状態の方にお届けすることが多いのですが、これも多くのタイプが出ており、マットの厚みやその表面をカバーする生地も様々で、これで完璧というものはまずありません。

とにかく多くの情報を加味しながら、その時に最適と思われるものを選定しないと、エアーマットなどは逆に危険なものとなるのです。
このエアーマットを導入するかどうかが最大の悩みとなるのです。


床ずれは、そのほとんどが、自力で寝返りが打てなくて同じ姿勢でしか寝ることのできない方や、車いすに乗っている時間が長い方に多く見られますが、食生活にもその原因があります。

寝たきり状態であまり食事が摂れず、毎日流し込みやすいうどんだけを少し摂るというような、栄養が偏っている方にその症状が多いようです。
少しずつで良いから、いろんなものをまんべんなく食べるということも大事ですね。(それと水分補給)



我々サービス事業者は医師ではありませんので、ひどい症状の場合は独断でマットレスの選定はしませんが(できるだけ主治医の意見を聞くということ)、皮膚が少し赤くなってきたとか床ずれが直りかけてきたとかいう、比較的に軽い症状の時期に選定しなければならないことが多く、この時に悩むのです。
症状が軽いほど悩むっておかしいことなのですが・・・・・。

医学的知識も豊富で、臨床例もたくさんご存知のケアマネージャーなら相談しあいながら選定するのですが、そういう状況は少なくて、大抵はご家族や訪問看護の担当看護師に状態を聞きながら、そして過去の例を思い出しながら選定しております。

情報が乏しくて聞いていた内容と少し違う場合もありますが、可能な限り考えてお届けさせていただいたマットレスをお使いいただき、後日良くなったという声を聞きますとホッとします。(日々勉強です。)


これから梅雨時期となり、室温も湿度も高くなってきますと床ずれにもなりやすく、介護をされるご家族も大変だと思います。

ベッドの上での生活時間が長い方を介護されるご家族は、定期的に皮膚をチェックされて、少し赤くなっていると思ったら、まずかかりつけのドクターにみてもらうこと、そしてその時に最適なマットレス(使用状況をよく考えたもの)を選定することです。
この時にキーとなるのがケアマネージャーです。
優れたケアマネージャーにめぐり合うのも予防かも知れませんね。


金額の問題ではありませんが、ちなみに介護保険を利用してのレンタルですと、800円~1200円くらいでご利用いただけますことを参考にして下さい。
もちろん、月々の料金です。


床ずれはナメたら怖いということと、何よりも普段からの予防が大切ということですネ。







バラ1.JPG
(中之島バラ園で、私をみつめていた?彼女)

nice!(7)  コメント(10)  トラックバック(0) 
共通テーマ:健康

バリアフリー2話 [介護]

午前中に一気に書類を片付け、今日が最終日の『バリアフリー2009』に行って来ました。

仕事柄、この福祉展は無視できず、毎回行っております。

この展示会は、高齢者のみならず障がいをもっておられる方達が快適な生活を送れるように、たくさんのメーカーや卸し業者が福祉機器や用品を展示紹介する会です。
(話は逸れますが、障害の害という字はひらがなで表示するのが一般的になってきましたネ。)


さすがに東京で行なわれる『国際福祉機器展』ほど混雑はしませんが、こちらも回を追うごとに入場者数が増えているような気がします。

我々業界の人以外にも、それを必要とされるご本人やそのご家族、また将来介護福祉の世界で働こうとされている多くの学生さんたちも熱心に見てまわっておられました。


私は、特にこれが見たいという目的がない時は、なるべく多くの方が集まっているコーナー(メーカー)を覗いてみることにしています。

人だかりが多いコーナーは、やはりそれだけ注目されているということですから、プロたる者は必ず知っておかなくては情けない話となりますものネ。
(最終日ということもあってか、今回はどのコーナーもたくさんの人だかりでした。)



展示紹介されているどれもが必ずこういう方にフィットする、ということはまずあり得ません。

ただ、最新の情報を得ておくということは、我々業者のみならず、一般の方達にとっても非常に有意義なことだと思います。


来週からの実際の現場で、今日見たものをふと思いつき、それが正解だったらうれしい限りです。



   ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



先日、『おばちゃん、久しぶりっ!』で足が上がりにくくなったおばちゃんちの勝手口の段差がこんなになりましたので報告します。
(介護保険適用で、施工額の9割分が支給されました。自己ご負担額は1割だけです。)


施工前はこんなでした。

おばちゃん、困っていました。


段差解消.JPG



持つところも無くて、どうしても足が上がらない、そして健常者には分からない降りるときの恐怖感から解放されたおばちゃんが、軽やかなステップ(?)でニッコリしてくれました。




段差解消2.JPG


おばちゃん、長生きしてや~!!


<追記>

上がりかまちに足マットを置かれている家をよく見かけますが、マットごと滑って転倒される方が非常に多いのでお気をつけ下さい。
どうしても敷きたいご家庭は、ホームセンターなどで売っている滑り止めのための薄い網目のゴムマットを床との間に敷かれることをお薦めします。
また、足が上がりにくくなった方はスリッパ履きはやめましょう。
これも転倒事故の原因の一つです。
屋外ではリハビリシューズとよばれる靴を、また室内では室内履き用のシューズ(靴)があります。
最近はたくさんの種類が出ていますので、ご近所の福祉用具取扱い業者にご相談下さいネ。
(これは介護保険の支給対象外ですョ。)

こけたら終わり、と思って充分ご注意を!




nice!(4)  コメント(6)  トラックバック(0) 
共通テーマ:健康

手すりの話(いつかそのにをアップする前のそのいち) [介護]


『Pandadaさん!Nさんが縁側から落ちはったみたい!手すり付けてあげてー!』

最近お付き合いをさせていただくようになったCM(ケアマネージャー)からの電話です。

よく聞いてみると、数年前に相談をお受けして訪問し、手すりを付ける場所がなくて廊下(縁側)幅を広げる工事をさせていただいたNさん宅でした。


この時は、介護保険の住宅改修工事の支援対象となる『滑り防止および移動の円滑化などのための床または通路面の材料変更』という項目で施工をさせていただいておりました。

何ヶ所か床を掘り下げて支柱を立てたりなど、金銭的にも大掛りな工事ならどんなふうにでも施工はできるのですが、借家でもあり、かつ介護保険の支給対象工事をということになりますと、まず認めてもらえないケースでした。

そこで、わずか40cmほどの通路(廊下)を60cmに広げ、表面に滑り止めのシートを加工して『これで安心』という施工だったのですが、やはり年々下肢筋力も衰えてきておられ、何かを持たないと歩行が不安定で、最近はたびたび転倒されているとのことでした。



再訪問させていただき、なんとか手すりを!と懇願されましたが、やはり取り付け場所となりそうなところはありません。

困ったなあと思い、何気なく上を見上げて見ますと、雨を防ぐための軒(のき)があり、波板を乗せているしっかりした木が走っていました。

腐ってもいないようだし、ぐらつきもありませんでしたので、介護保険でのレンタルで認められている手すりをセッティングすることにしました。


早速、手すりの代理店担当者に用具を持参していただき、あっという間に・・・・・、




BPバー1.JPG



BPバー2.JPG



BPバー3.JPG



BPバー4.JPG


簡単に言えば、突っ張り棒(支柱)を2本立て、その間に横バーを取り付ける方法です。

今回の現場のような場合、大抵のレンタル業者は、天井側の柱が台座よりも細いので危険ということで断られるのですが、お付き合いをいただいているところはいとも簡単に台座を加工され、外部ということでステンレス製の横バーをカットしてくださいました。

Nさん、これで夜中でも安心してトイレに行けると、にんまり顔に。


担当者曰く、『他社さんが断られても、大抵の場所にセッティングさせていただきます。台座加工が“ミソ”です。』

と、なんとも頼もしいお言葉です。

手すりの取り付けができなくて困っておられるところはたくさんいらっしゃいます。

今回は数年前に床を広げて補強もしていたいたのがなお良かったといえますが、いろんな方法を考えることのできる、そして考えたことが正解になる現場って楽しいですね。



これが今回の“ミソ”です。


BPバー5.JPG


躯体を傷つけることなく、がっしりとした手すりの完成です。

横バーは高さ位置も変えることもでき、永く安全にご利用いただけそうです。



Nさん、とにかくコケないようにネ!



桜満開1.JPG







nice!(4)  コメント(5)  トラックバック(0) 
共通テーマ:健康

おばちゃん、久しぶりっ! [介護]


その昔、近所の八幡さんで一緒に走り回っていた友達(といっても私より年上)のMくんから電話がありました。

彼とはもう何十年も会っていませんので、何事だろうと思い聞いてみますと、ご両親のことでした。

彼のご両親(おっちゃん、おばちゃん)には、小さい頃にずいぶんかわいがってもらった記憶があります。

聞けば、90歳になるおっちゃんは入院中で、もう家には帰って来れないだろうとのこと。

おばちゃんはつい最近退院したばかりで、1日おきの透析治療が欠かせない状態だそうです。


そうか、私の知り合いの肉親は、もうほとんどがそういう状態の方ばかりなんだと思いながら、懐かしい彼の声を聞き昔を思い出していました。


彼の相談ごとというのは、おばちゃんが住む家の勝手口の上がりかまちのことでした。

退院してきて、たった20cmの高さの上り下りが難しくなっていることに驚いたとのことです。


私は日々こういう話で現場をまわっていますので、年齢とか身体状況を聞いての彼の話は当然のことだと思うのですが、いざ自分の肉親がそういうふうになると、やっぱりショックでどうすれば良いのか考えてしまうものなんだと改めて認識しました。


彼は高校教師でクラブの顧問もしているらしく、普段はほとんど学校にいるためできれば今日来て欲しいとのことでした。

真っ青に晴れ上がった日でしたので、早い時間に書類を片付けてカメラを持ってどこかへ・・・・・と企んでいたのですが、懐かしい幼馴染の頼みです、ほうっておけません。

お彼岸の3連休で最高の天気ということで、高速道路も普段より混雑していましたが、懐かしいおばちゃんの家に向いました。


 


段差解消.JPG


なるほど、手すりも無いし、足腰の弱ったおばちゃんにしたら怖い段差です。

靴脱ぎ場をできるだけ広く残して、安全にそして楽に上り下りができるようになんとかして欲しいというおばちゃんの頼み・・・、う~ん、なんとかしましょう!


『でもpandadaちゃん、要支援やったら工事でけへんのやろ?』

また間違った情報で惑わされている人がここにもいました。


介護認定を受けていれば、要支援でも介護保険を利用して1割の負担金で工事ができることを説明させてもらいました。(介護度は関係ありません。)

『役所への申請とかちょっと時間がかかるけど、その間にこけたらあかんでぇ。こけて骨折ったらしまいやでぇ』

と言い残し、帰路につきました。

小さい頃によく言われていたことを逆に言う立場になっている自分がおかしくて、おばちゃんどう思ってるやろか?



こういう話は、高齢のご本人だけではなかなか前に進まないこともあり、なるべくご家族や親しい第3者の方が一緒にいらっしゃる時を調整して伺うようにしております。

今回は、息子である幼馴染が横に居てくれましたので助かり(?)ました。

本当は、ケアマネージャーとかPT(理学療法士)・OT(作業療法士)の方が一緒なら尚いいのですが、なかなか現場に出てこられる熱心な方がいらっしゃらないのが現状です。

また、このような介護保険を利用しての住宅改修は金額も低く、役所との書類のやりとりも煩雑なので、止めていく業者も出てきているとの話も最近よく聞くことを添えておきます。



やっぱり、人が好きというのが根本にないと続かないんですね。


 

桜蕾.JPG
(もう咲くぞ~!)






nice!(5)  コメント(7)  トラックバック(0) 
共通テーマ:健康

Hくん、お母さん、頑張れ! [介護]


小児用ベッド1.JPG



これが何だか分かりますか?


小児用のベッドです。

生まれながらに重い脳障害を持ち、歩くこともできない子供さんのご家庭に設置させていただきました。


小学校の低学年までなら、なんとかお母さんが頑張ってお子さんの身体を抱きかかえ、寝床から車いすなどに移乗させることができていたのですが、年々身体が大きくなり体重も増えてきて、お母さんが腰を痛めてしまわれたという連絡をいただいたのです。

もうこれ以上は無理かも、という切迫したお電話で急遽メーカーのショールームにお連れしました。


そして、日常のいろんな状況を考え、またたくさんの種類の介護ベッドを確かめてご納得いただいたものです。



今回は、一人で寝返りがうてるがために普通のベッドでは床に落ちてしまう危険が非常に多い、とのこともこのベッドに決定した一因です。


両サイドの柵は、3段階に高さを変更することができ、お母さんが他の用事で目を離さないといけない時や夜間は、写真のように一番高い位置にセットしておけるわけです。
彼の身体状況では絶対に乗り越えたりもできません。

そして、今回はお母さんが小柄ということもあり、お子さんの身体が少しでも高い位置にあるほうが移乗させやすいということで、寝床が高い位置にあるタイプを希望され、おまけにマットレスも3枚重ねで試してみて決められました。



すべてのセッティングを終えて、実際にお子さんを寝かせ、お母さんに移乗の動作をしていただいて、『ああ、楽になった・・・』と一言おっしゃった時、かすかにお子さんの目が動きました。

自由に喋ることもできないけれど、目で気持ちを伝えているのです。

もちろんお母さんに・・・。




小児用ベッド2.JPG




この日、夜のニュースで国民の先頭に立つ方のろれつの回らない記者会見を見ました。



なぜか急に、あの小柄なお母さんが、喋ることも歩くこともできない子供さんを必死で抱きかかえていた姿を思い出し、涙が止まりませんでした。



この国は、やっぱりどこかおかしい。(と思いません?)
nice!(4)  コメント(7)  トラックバック(0) 
共通テーマ:健康

“現場”の一言 [介護]

車いすをレンタルしていただいている方の担当CM(ケアマネージャー)から電話が入りました。

現在ご使用になっているベッドは高さを変えることができず、サイドレールもないのでヘルパーさんも介助するのが大変だと言われます。

取り急ぎ見に行って欲しいということでしたので、薄暗くなってきた夕方5時過ぎの寒空の下、愛車のチャリンコにまたがり緊急出動です。

やはりご使用のベッドは、通販でよく出ている2ツ折りの安価なものでした。

このタイプは最近よく売れているらしく、あちこちのご家庭でみられます。

でも、ほとんどの方は数ヶ月で腰が痛くなってきたり、ギシギシと異音がするということで処分を検討され、私も何回か引取りを依頼された経験があります。

このタイプのベッドは、若い方がワンルームなど狭い部屋で利用したり、緊急の来客用として使用するもので、介護を必要とされる高齢の方にはお勧めできません。

やはり介護用と認められたタイプのものは、そのあたりをよく考えられたもので、今回はご利用者の身体状況などをお聞きして、2モーターのミニサイズ(身長が140cmほどでした)で介助バーを付ける事をおすすめし、マットは床ずれもないようでしたので通常タイプのものを選定しました。

これでレンタル料金は、月々1900円ほどです。

介護用具(福祉用具)ですが、介助される方はもちろん、介助する方のことも考えて選ばないといけません。

もちろんそこには各ご家庭の環境(納入場所や経済状況など)も考慮しないといけませんので充分な説明と聞き取りが必要なのです。

そのあたりを間違うと、逆に使い勝手の悪い、むしろ危険なものにもなりかねませんので、必要とされる方は充分に我々業者と話し合って下さい。

ところで、今回訪問をさせていただいたご家庭で1時間ほど居て思ったことなのですが、この国の福祉行政は本当に国民のことを考えて動いているのか、またまた考えさせられてしまいました。

今回のご家庭ですが、94歳になる認知症のお母さんを娘さん一人でみておられます。

娘さんといっても70歳近くの方でご主人もいらっしゃらず、ご兄弟もおられませんので自分で介護しないとどうしようもなく、現状の苦労とご自身の体調不安、そして将来の不安を訴えられました。

あちこちの老健施設(老人介護施設)を探されましたが、どこも入居は順番待ちで、ほとんど数年先でないと無理と言われたそうです。

国民全員に12,000円を配ったり、迎撃ミサイルの実験も必要かも知れませんが、その費用のたとえ少しでもまわして安価で利用できる介護施設を建てたり、介護ヘルパーを増やしてその単価を上げることなどを緊急にしないと、この国はもっと住みにくい国になるでしょうね。


帰り際に、娘さんがおっしゃった一言が頭から離れません。

『自分の母親だから介護するのは当然だけど、私自身の生活なんて何も無く、誰か助けて欲しい。この先を考えると真っ暗です・・・・・。』


国政にたずさわる政治家の方、官僚の方、この声が聞こえませんか?





秋・遊覧船.JPG


nice!(6)  コメント(8)  トラックバック(0) 
共通テーマ:健康

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。